グラフィック、アート、ミュージックを通じて地域と繋がる"新しい住まいのカタチ"
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全国版を展開してから早二カ月。ついに関西へ初上陸!と、やや大げさではありますが、やっとの思いで関西で展開されているシェアハウスを訪問することができました。今回はその第一弾として大阪・池田にある全48室の大型シェアハウス「ANTEROOM APARTMENT OSAKA」をご紹介したいと思います。
もともとNTT西日本の通信ビルであった建物をシェアハウスにコンバージョンしてつくられたそうで、ところどころにその名残を感じさせる元の内装が、"アート&カルチャー"というコンセプトと絶妙にマッチし、創造性を刺激する余白を残した空間に仕上がっています。
ハウスの至る所には、大阪に縁のあるアーティストが手掛けた作品が展示され、開放的なメインラウンジでは、入居者のみならず、地域住民を巻き込んだイベントを定期的に開催されているそうです。
地域に根ざした運営は、暮らしの場だけに留まらない、新しい住まいのカタチとして未知の可能性を秘めているような気がしてなりませんでした。それを証明するかの如く、2013年度グッドデザイン賞を受賞され、しかも表彰されたのは”街づくり・都市づくり”のカテゴリーとのこと。暮らしと地域を繋ぐ場とは一体どんなところなのか。
早速ハウスの中を見ていきましょう!!
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「ANTEROOM APARTMENT OSAKA」物件詳細はこちら
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商店街の路地から突如現るモダンなエントランス
洗練されたデザインのエントランスでありながらも、商店街の中にファーストエントランスがあり、庶民的な要素があるのも魅力。生活のしやすい環境が整っています。
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エントランスゲートの様子。写真右側の建物の一部がシェアハウスとなっています。
正面の入り口までは、モニュメント風のガラスの直方体が並んでいます。その中を覗いてみると、人の形をした置物が数体並んでいます。
こちらは、関西に縁のある2人のアーティストのコラボレーション作品「void / figure」。最高峰の展示ケース制作技術を用いて制作され、無限の空間がひろがっているように見えます。
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正面玄関に向かって右手側には、メールボックスと駐輪場が設置されています。
さて、こちらが正面玄関。早速中へ入ってみましょう。
玄関を開けると、やや殺風景で無機質な空間が広がっていますが、床や壁に目を向けると、もともとの建物の歴史を垣間見ることができます。
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天井高4.6m、五感を刺激するクリエティブな4つの空間
メインラウンジに一歩足を踏み入れると、息を呑む圧倒的な開放感を誇る空間が目の前に広がり、落ち着くことのできる場所でありながらも、想像力をかきたてる刺激的な場所という2面性を有します。
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天井が高いため、リビングの中には階段を少し上がった場所にも共用スペースがあります。丘の上から見下ろす感覚で、リビングを見渡すことができます。
キッチンは真ん中にどんと配置されたカウンターテーブルを中心に、コノ字型に設計されています。朝はキッチンで作った朝食を配膳の手間なく、ささっと食べて出社。そんな画が浮かびますね。
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ラウンジ全体の様子。天井が高いだけに、開放感は抜群です。
こちらはしっとりとソファに座りながら寛ぐ場。壁に設置されたテレビでは、有料放送も楽しむことができるそうです。
一見遠くから見ると、真っ白な壁に見えますが、よく目を凝らすとここにもアートが。名和晃平氏という有名なアーティストによるドローイングだそう。
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窓際には、ちょっとした作業に向いたカウンターテーブルが用意されています。
共用のiPadには、セレクトされた音楽がはいっており自由に聞くことができます。音源はシーズンごとに追加されるそうです。
こちらの12面体の謎の物体は、何と360度から音を発するスピーカーだそう。声や楽器の音をより自然な響きとして再現できるのだとか。一つ一つ手作りだという点もお忘れなく。
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コノ字型に囲われた背の低いソファが並ぶ寛ぎスペース。
リフォームの際に剥がした壁の質感が思いのほか格好良かったため、そのまま使用したのだそう。
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キッチンのカウンターテーブルはタイル敷きで、調理もストレスフリーで行うことができるそうです。
シンクとIHクッキングヒーターは左右両側に設置されています。
キッチンの奥には個人ごとに調味料を保管できる収納BOXがずらりと並び、冷蔵庫は計3台設置されています。専用のドアが廊下側にあり、わざわざリビングを通らずとも、自由に行き来できます。
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一箇所に留まらず、施設の各所に共用スペースを用意。気分や利用目的によって場所を選択
共用スペースは大きなメインラウンジに限らず、自由に本を閲覧できるライブラリー、日頃の疲れを癒すリラクゼーションルーム、気軽に立ち寄ることのできるカフェスペースなど施設内の随所に用意されています。大勢の輪の中に入るのが少ししんどいと思う日には、場所を変えて自分のペースで寛ぐことができます。
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通路のちょっとした隙間に設けられたスタディールーム。机に向かって1人集中したい場面には是非こちらへ。
こちらは、玄関を上がって正面に設けられたアトリエルーム。創作活動を行うには、うってつけの空間です。
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2階通路奥の一角に設けられたこちらは、リラクゼーションラウンジ。
マッサージチェアが各2台設置され、仕切りのカーテンを閉めれば、自分だけの癒しの空間に。
ふと通路を歩きながら見上げると、こんな場所にもアート作品が。
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さて、階を一つ上がり、3階の通路奥にはカフェスペースが設けられています。
3階のお部屋に住まれている方は、わざわざ2階のメインラウンジに行くのが面倒だというとき、よくここを活用されているのだとか。
窓際にも、ちょっとしたラウンジスペースが設けられています。
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水回りの様子。洗面台の下には、ドライヤーも用意されています。
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建物内の床は、敢えてそのままに。少々の荒っぽさもクリエティブな空間にはぴったりかと。
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シンプルな間取りの個室は、自分好みの内装にアレンジ
お部屋は全部で5つの間取りの個室を用意。最大20㎡以上もある広めのお部屋から、女性専用、2人入居可の水回り完備のお部屋など、それぞれの目的に見合った個室を選択できます。
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こちらはモデルルームの様子。インテリアの参考までに。
天井高が2.8mもあり、とても開放的です。「はやぶさ」と呼ばれる高速光回線インターネットとエアコンは全室に完備しています。
ちなみに広めのお部屋は照明が可動式となっており、どこにいてもあなたが身を置くスポットを明るく照らします。
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最後にイベントの様子を少しご紹介します。アンテルームではイベントが定期的に開催されているのも魅力の一つ。
大阪に縁のあるアーティストをゲストに呼んだり、入居者さんが自分で企画したりと、多種多様な内容で、住居人だけでなく、外部との交流も活発なのだとか。
また、地元の商店街を巻き込んだものもあり、実際に鶏をさばきながら、食についての知識を深めるイベントも行われたそうですよ。
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こちらのシェアハウスを運営するのは、UDS株式会社さん。もともと老朽化したホテルのリノベーション、住みたい人が集まり、共同で自分たちの住まいを創っていくコーポラティブハウス事業などを行っており、シェアハウス事業に関しても、初めての取り組みでありながら、ある程度のノウハウを持って始めることができたそうです。
”私たちは常にエンドユーザーの視点にたって、それぞれの時代に適した「都市とコミュニティの新しいスタイル」を具体的な“かたち”にしていきます”といった会社の理念を、まさにそのまま”かたち”にしたのが今回手掛けたシェアハウスなのではないかと思います。
現代社会において地域コミュニティの希薄化は一つの大きな問題ともなっていますが、シェアハウスが個人と個人、そして、個人と地域コミュニティを繋ぐ架け橋として大きな役割を担うことができるのではないかと感じた今回の訪問。
勿論、ハウスの規模によってできる、できないはあるかと思いますが、人と人とが繋がる公共の場として、もっと広く普及したら良いのにな、と素直に感じました。
また、イベント開催時は地元の子供たちも遊びに来るそうで、「この広いリビングを子供たちが駆け回っているんですよ」と運営者さんが仰っていました。
昔から、”子供の声が聞こえるまちは元気なまち”だと言いますが、この場所もまた例外ではないのかもしれませんね。
/Author: カガワ